Pentium Dual-Core E2140 の FSB1066MHz 化


Pentium Dual-Core E2140

 intel のメインストリーム向けプロセッサである Core 2 Duo プロセッサファミリーの廉価版として、Pentium のネーミングを関する製品が発表された。その名も Pentium Dual-Core (以下:PenDC) である。PenDC には現在 E2140 と E2160 があり、動作クロックはそれぞれ 1.60GHz、1.80GHz である。FSB は800MHz でセカンドキャッシュ容量は 1MB であるから、同社のデュアルコアプロセッサの中でもっともローエンドに位置するラインアップである。

筆者は NEC Express5800/110Gd の Celeron D からのプロセッサ置き換え用として発売されたばかりの PenDC E2140 を使用していたのだが、赤い水星氏より Core 2 Quad の FSB 1066MHz -> 1333MHz 化を扱った海外サイトを紹介された際、その手法に見覚えがあったので、手持ちの E2140 に応用することにした。

その手法とは、プロセッサの FSB 選択ピンを強制的に High / Low 設定することにより、FSB の設定が BIOS などから行えないマザーボードでもこれを実現するものである。かつて筆者が使用していた NEC のモバイルノート、 LaVie G タイプ RX (PC-LG17FW) に Pentium M 715 (1.50GHz) のピンに細工して FSB を 400MHz から 533MHz にクロックアップして 2.00GHz で駆動したのと同様の手法である。

BSEL と FSB の関係は下記のとおりである。
	BSEL2	BSEL1	BSEL0	FSB
	L	L	H	533MHz
	L	H	L	800MHz
	L	L	L	1066MHz
	H	L	L	1333MHz

それぞれの FSB にするためのピン接続図。

 さて、問題なのはピン同士の接続だが、これまで動作報告のない実験だったので非可逆改造は極力避けたかったことと、作業が簡単に出来ることの条件を満足するため、アルミホイルを使用した。これは BSEL ピンがプロセッサ外周に用意されていることが幸いした。
PenDC を FSB 1066MHz で駆動するには、現状 High となっている BSEL1 を Low に落とさねばならない。データシートを見ると、BSEL1 から上に向かって3つ目のピンが Vss であるから、この両者を接続すればよい。前述のアルミホイルをコの字型に切って、位置決めをしてピンの外側からテープ止めすれば、あとは LGA の構造上、ソケット側からピンが押さえ付けられてアルミホイルはプロセッサのピンに接触し BSEL1 は Vss に接続されるという仕組みである。


アルミホイルで BSEL1 を Vss に接続したところ。


システムのプロパティ。動作クロックが 2.13GHz となっているのがわかる。

 結果はご覧のとおり。BIOS 上からも E2140 @ 2.13GHz と表示され、改造が成功していることがわかる。
Windows 上からユーティリティを用いて得た結果のスクリーンショットもあわせてお見せする。


CrystalCPUID の表示。Current の System Bus が 1066MHz になっている。


PenDC は EIST をサポートしており、8倍以外に6倍での動作が可能である。

 この余勢を買って一気に 1333MHz 化を目論み、先述の海外サイトに倣って BSEL2 を High に接続してみたが BIOS 画面すら出ずに轟沈。折角なので Core 2 Quad Q6600 (G0ステップ) でも試したが、同じく轟沈。 両者とも BIOS 画面程度なら映っても良いクロックだったにもかかわらず無反応であったことを考えると、チップセットが FSB 1333MHz に対応していることが条件かと思われる。


海外サイトでは ASUS P5N32-E SLI にて FSB1333MHz動作が紹介されていた。

 この実験結果から BSEL ピンの High / Low 強制設定によるクロックアップはチップセットがサポートする FSB の範囲において有効といえる。
現在デスクトップ用として流通している intel P35 や G33 といった FSB1333MHz 対応のチップセットを用いれば、1333MHz の FSB で駆動することが出来ると思われる。そして何より FSB 1066MHz のプロセッサをクロックアップできるので Q6x000 / E6x00 シリーズの intel VT の恩恵にあずかれるのが嬉しい。
つまり Express5800/110Ge (仮称) では Q6600 の 3GHz 駆動なども夢ではないわけで、今から期待が膨らむ一方である。


参考文献

intel Pentium Dual-Core Processor (英文)
http://www.intel.com/products/processor/pentium_dual-core/index.htm

intel Core 2 Quad Processor
http://www.intel.co.jp/jp/products/processor/core2quad/index.htm

※8月13日現在、インテルジャパンのサイトには Pentium Dual-Core の製品情報は記載されていない。



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