PC-LG17FW あれこれ



NEC LaVie G type RX (PC-LG17FW/TGM)


第1章・はじめに

 出逢いとはいつも突然に起こるものである。私はアキハバラにある中古ショップのショーケースに釘付けになっていた。予てから捜し求めていた LaVie G type RX こと PC-LG17FW(以下:LG17FW) が じゃん某ら5号店にて陳列されていたのだ。急遽特別予算を編成して翌々日、再び同店を訪れた。晩秋の冷たい小雨が降る11月5日のことであった。
 実は既に、初代モデルの type RX (PC-LG17F、以下:LG17F) を買っていたりするのだが、ソレはまた別の機会に。


第2章・HDD 換装

 これまで使っていたノートパソコンであるところの VersaPro PC-VA70J における経験上、ノート用HDD は 7200rpm 以外考えられなくなっていた私は、LG17FW 本体と同時に 日立グローバルストレージ(以下:HGST) の Travelstar 7K100 の HTS721010 を購入した。容量 100GB・回転数 7200rpm である。ちなみに 7K100 シリーズは 100GB の他に、80GB と 60GB のラインナップがあるが、こちらは内部転送速度や記録密度などの仕様が異なる(低い)ので注意されたい。


期待の星 HTS721010(左) と、早速ご退場願った MK8025GAS(右)。


 で、本体一通りの動作確認が終わってから、早速 HDD を換装することにした。
NEC のノートパソコンは HDD が NX パッド右か左に実装されているので、まずは NXパッド側のパネルを外した。これは本体裏面に「いかにも」という感じの4箇所のネジを外すと簡単に浮き上がる。あとは NX パッドのフィルムケーブルに注意しながらずらせば右下に HDD が現れる。


赤丸部分のネジ4本を外すだけ。


HDD は簡単なマウンタに止められているだけなので、簡単に換装することができる。折角なので本体に搭載されている他のデバイスも紹介しよう。

■A:トリプルワイヤレスLAN
Atheros社 SuperAG 技術を搭載した IEEE802.11a/b/g 対応の MiniPCI カード。802.11a は2005年より改正された世界標準対応版である。電波の ON/OFF は Fn + F2 キーで行う。

■B:Bluetooth
部品自体は太陽誘電製だがドライバ・ユーティリティは東芝製。デバイスの ON/OFF は 無線 LAN 同様、Fn + F2 キーで行う。マザーボードとは専用のフィルムケーブルで接続されている。

 換装が終了したら、念のため BIOS セットアップ画面でデバイスを確認して OS の再セットアップに掛かる。各種デバイスドライバは WINXP ディレクトリに、プリインストールソフトは APSETUP ディレクトリにそれぞれ収録されているので必要に応じて退避させておくと良い。


第3章・メモリ換装

 LG17FW はカタログスペックにおいて、標準で 256/512MB (セレクションメニューにより異なる) を搭載し、増設メモリボードを使用することによって、最大 1,280MB/1,536MB(同) まで拡張することができる。よってカタログの記述を見る限り、メモリスロットは1スロットしかないことになっている。しかし他社製ノートを見回しても、普通は2スロット搭載しているのが常であり、いまどきオンボードで 256MB か 512MB かユーザーの都合でわざわざマザーボードに貼り付けているとは考えがたい。
 という訳で早速分解である。本体裏側のメモリスロットの隙間を覗いて見た限りでは、背面にもう1スロット隠れているとは物理的に思えないので、NX パッドから上、つまりキーボードや電源ボタンのゾーンに存在すると思われる。かと言って本体を全バラシするのも非効率なので、とりあえずキーボードの下を拝見してみることにした。
キーボードは NX パッドの部分(第2章で紹介)と [LaVie] のロゴと電源ボタンがある部分のパネルによって押さえつけられているので、本章では後者のパネルを外した。
適当に爪でこじってみたが、どうやらネジ止めされているらしく、それはバッテリを外した部分にあった。そこの3本のネジを外して再度パネルの中央に手を入れると、簡単に浮き、同様に左右も外れた。ただ、左右の部分は液晶のヒンジカバーも兼ねているので、外す際は液晶を180度開いた状態で行う必要がある。


真ん中から開けていくほうが外しやすい。


外したパネル。どおりで液晶を開いた状態でないと外れないワケだ。


あとはキーボードを手前に起こすだけだ。
さて、あっけなくオンボードメモリと公称されているメモリスロットが見えたのだが、右上に mPGA479 の CPU ソケットがあるのだ。さしあたってプロセッサの能力には不満がないので、CPU 換装はまたの機会にしておく。


赤丸の部分のネジを外すとメモリスロットにアクセスできるようになる。


メモリは SAMSUNG M470T3354BZ3-CD5。


[オンボードメモリスロット] の名称は [DIMM B]。実装順序が逆でも起動できた。


 で、メモリを換装することになるが、今回用意したのは 1GB の PC2-4200 DDR2 SODIMM である。デュアルチャネルでの使用が前提なので本数は 2本。これなら Microsoft Virtual PC 2004 を用いた仮想 PC も快適に動作するはず。
皮肉なことに、LG17FW が電脳技術研究所でもっともメモリ容量の多いマシン (平成17年11月現在) になってしまった。


搭載チップは SEC 製。512MbitDRAM が 16個実装されている。


 アキハバラのクレバリーで \9,958/本 にて購入した SAMSUNG チップ搭載のノーブランドのメモリには念のため \200 で相性保証を付けておいた。万一動作に問題がある場合は返金に応じてくれる。
換装の手順は前述のとおりで、元々実装されていた 256MB の DIMM と挿し替えるだけである。作業の際はバッテリと AC アダプタを外してから行う。隠しスロットにアクセスするのは面倒なので、接触は十分に確認しておきたい。
 換装が終了したらバッテリや AC アダプタを接続して電源 ON。まずは BIOS セットアップ画面で容量を確認する。


そろそろメモリの単位を "KB" から "MB" に変更してもいいんじゃないかと思う今日この頃。


 計算上は 2046MB (2095104KB) から UMA 用メモリを引いた容量になるので、2062336KB (2014MB) と表示されると思いきや 1964032KB (1918MB) になっているので、もしやと思って XPRESS200M に割かれている UMA の容量を見たら 128MB となっており、固定されていて変更不可であった。1400x1050ドット・32bitカラーのダブルバッファなら 16MB もあれば十分なのに、この仕打はあまりに酷過ぎる。もっとも、最近のデスクトップ PC 用ビデオカードは最低でも 128MB は搭載しているので、そのあたりの兼ね合いもあるのだろうが、せめて 32MB からの可変にして欲しかった。ちなみにメインメモリを 1GB 搭載した時点で 128MB 固定になっていた。
私が LG17FW で唯一気に入らない部分がそれである。なお、先代の RX には MOBILITY RADEON 9600 ないし 9700 に 32MB のオンボードメモリが独立して搭載されていた。


ビデオメモリは 32/64/128MB が選択可能だが、1GB 以上を実装した場合 128MB 固定になってしまう。


 メモリのデュアルチャネル動作については、Memtest 86 などのツールから確認することができる。


シングルチャネル動作時。683MB/s となっている。


デュアルチャネル動作時。1010MB/s となっている。



第4章・ベンチマーク結果

 かくしてモバイルワークステーションとして不動のパフォーマンスを手に入れた LG17FW であるが、その変容をベンチマーク結果によってお届けしたい。

(1) 初期状態 (RAM 512MB デュアルチャネル)
 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★ 
M/B Name      
Processor    1733.39MHz[GenuineIntel family 6 model D step 8]  
VideoCard   ATI RADEON XPRESS 200M Series  
Resolution  1400x1050 (32Bit color)  
Memory      489,648 KByte  
OS           5.1 (Build: 2600) Service Pack 2  
Date        2005/11/05  21:40  

標準デュアル チャネル PCI IDE コントローラ
プライマリ IDE チャネル
  TOSHIBA MK8025GAS

標準デュアル チャネル PCI IDE コントローラ
セカンダリ IDE チャネル
  MATSHITA UJDA740 DVD/CDRW

   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 31521   105671   82847    65259   35466    67965          59

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write   RRead  RWrite  Drive
    56600  21949   13020     199   22515   23320    8714   10401  D:\100MB


(2) 強化後A (HDD 換装+RAM 1GB シングルチャネル)
 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★ 
M/B Name      
Processor    1733.40MHz[GenuineIntel family 6 model D step 8]  
VideoCard   ATI RADEON XPRESS 200M Series  
Resolution  1400x1050 (32Bit color)  
Memory      915,632 KByte  
OS           5.1 (Build: 2600) Service Pack 2  
Date        2005/11/18  19:51  

ATI IDE Controller
プライマリ IDE チャネル
  HTS721010G9AT00

ATI IDE Controller
セカンダリ IDE チャネル
  MATSHITA UJDA740 DVD/CDRW

   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 38367   105568   82851    65103   24004    48108          29

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write   RRead  RWrite  Drive
    33800  20536   10740     113   51174   50000   21626   18101  T:\100MB


(3) 強化後B (HDD 換装+RAM 2GB デュアルチャネル)
 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 3.40 beta 6 (C)EP82改/かず ★ ★ ★ 
M/B Name      
Processor    1733.39MHz[GenuineIntel family 6 model D step 8]  
VideoCard   ATI RADEON XPRESS 200M Series  
Resolution  1400x1050 (32Bit color)  
Memory      1964,208 KByte  
OS           5.1 (Build: 2600) Service Pack 2  
Date        2005/11/18  18:46  

ATI IDE Controller
プライマリ IDE チャネル
  HTS721010G9AT00

ATI IDE Controller
セカンダリ IDE チャネル
  MATSHITA UJDA740 DVD/CDRW

   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 42635   105661   82854    63594   34852    67044          59

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write   RRead  RWrite  Drive
    56954  52557   12420     197   51174   50793   21988   18830  T:\100MB


 やはり特筆すべきは HDD 換装による転送速度の劇的な向上である。数値比較2倍という変化量は伊達ではない。ノートパソコンにおける最大の弱点であるディスクアクセスの遅さを克服することのできる HGST の Travelstar 7K100 ファミリーの存在意義は非常に大きく、IBM / Lenovo ThinkPad T43p に採用されている実績がある。


第5章・おわりに

 VA70J の置き換え用として悲願叶って導入した最新アーキテクチャを搭載のハイエンドモバイルノート LG17FW だが、HDD 換装とメモリ増設によって、さらに強大となったパフォーマンスは私の期待に十二分に応えてくれるものとなった。自宅で、オフィスで、木崎湖で、出張先で、車内で、あらゆるシーンにおいて最高の生産性を提供する LG17FW、本機の輝かしい活躍に期待して本節を締めくくることにする。


電脳技術研究所は 98サーバのリーディングカンパニーとして NEC98 アーキテクチャの繁栄に貢献しています。

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