モデムの代わりに LAN を載せる




第1章・はじめに

日差しが初夏を感じさせる季節、気が付くと川越のハードオフで NEC VALUESTAR NX VC30H/5 (PC-VC30H/5XD2、以下 VC30H/5) を買っていた。HDD 無し、本体のみで \3,000だった。
当時の電脳技術研究所ではこれまでの 98サーバや Express ワークステーションに替わる NEC 製省スペースPC の導入を模索していた時期で、程度の良いマシンを安価に調達する必要があった。
そんな中、VC30H/5 は電脳技術研究所埼玉プラントに実戦配備されることになったのだが、思わぬ障害が待ち受けていたのである・・・


第2章・起動までの道のり

早速接収し、内部を点検したところ、店の案内にあった通り、HDD が無いだけで、CPU・メモリその他デバイスは実装されたままで、とりあえず起動試験にあたっては何も問題が無かったので電源を投入した。ところが、BIOS画面さえ出てこない。メモリや CPU を挿し直してみたがダメで、CPU を Celeron400MHz に交換したら動いた。何と CPU が破損していたのだ。

次は実用化にあたって HDD の実装である。残念なことに Seagate の Medalist3210 (ST33210A) しか手元に無かったので渋々これを実装して Windows 2000 Professional をインストール。さすが NEC 製マシンというだけのことはあって、デバイスドライバは全て OS に標準で実装されていた。
システムの諸設定が終わって一息ついた所、何かが足りない事に気付く。そう、LAN が無いのだ。
この時代のマシンには業務用なら LAN、家庭用ならモデムとかいう棲み分けが出来ていて、VC30H/5 も例外に漏れることなく PCIモデムが実装されていた。しかも厄介なことに、このモデムのブラケットが特殊な形をしており、LANカードへの換装を拒むかのようだったのである。

上がモデムのブラケット、下が 3C905TX のブラケットである。
このままだと本体のディスプレイ出力端子にぶつかってしまい実装できない。

とは言え、このままでは貴重な PCIスロットが使えず、VC30H/5 は ヘタレマシンの名を欲しいままにしてしまう可能性が出てきた。それに、我々には優れた科学の力があるので(笑)、この問題を武力で解決することにした。

MATE NX ではこのブラケットの形を持つ i82559 搭載 LAN カードが実装された機種が存在するのだが、このカードのみを入手するのはた易い事ではない。
ならばブラケットを斬るしか他に方法はあるまい。
こうしていつものノリでノコギリを取り出し、作業が開始された。


第3章・切削作業

今回用意した LANカードは 3COM の 3C905TX である (intelが手元に無かったので)。
非常にメジャーかつ高性能なカードで、既に VC30H/5 にて動作確認済み(ドライバはOS標準搭載)である。
用意するものはノコギリ以外何もなく、欲を言えばバリ取り用に鉄ヤスリがあれば思わぬ怪我をしなくて済むと言った具合である。
で、今回は作業時間の短縮の為にブラケットを RJ-45 コネクタ部分で半分に切る事にする。作業時間はほんの数分で終わる。あとはヤスリで尖った部分を滑らかにして完璧だ。
そして、ボードとブラケットをネジ止めしてあとは本体に実装するだけである。



第4章・おわりに

思いつきのような作業で何の違和感もない仕上がりを見せた 3C905TX(改)。
これで VC30H/5 は電脳技術研究所埼玉プラントの取るに足らない1クライアントとして末永く活躍してくれることであろう。
今度は同様の手順でギガビットを搭載してみようと思う。


電脳技術研究所は 98サーバのリーディングカンパニーとして NEC98 アーキテクチャの繁栄に貢献しています。

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