HP ProLiant ML110 G5 あれこれ(体験版)



HP ProLiant ML110 G5 外観。


1.はじめに
 昨年から始まった intel 3000チップセット+CoreMA(マイクロアーキテクチャ)搭載の特価サーバ競争は DELL を発端として NEC、IBM、富士通、hp などの主要ベンダを巻き込みながら拡大し、本年4月の AMD 製プロセッサ搭載 hp ProLiant ML115 の発売で終止符を打ったかのように思われていた。
しかし 11月に intel 3200/3210 チップセットを核とする [Garlow プラットフォーム] が発売されて、ほどなく hp 社の Web サイトに ML110 G5 なる製品概要が発表されたのである。
長らく[12月上旬受注開始予定] との表記があったが、オーダー開始は12月も中旬にさしかかったであろう13日(木)からで、当方では翌金曜日に入金、折り返し hp から正式受注と20日納品の旨を記載したメールが届いた。
今回発注したのは Celeron 420 / 512MB / 80GB の最廉価構成から、光学ドライブを DVD-RW に変更したモデルである。予定通り 20日に到着したので、急ぎ足ではあるが本機についてレビューを行っていく。

お こ と わ り
本稿の初出は2007年12月発行、コミックマーケット73 において販売された
[SV Magazine 特別編 〜特価サーバで遊ぼう! Vol.2] であり、それを
Web 公開用に縮小したものであります。従来形式のレビューをご希望の方は
掲載まで一定期間お待ちいただくか、2008年1月31日まで行っております通販で
お求めくださいますようお願いいたします。


到着後の様子。ビニールに包まれた本体はウレタンにガードされ下段に入っている。



2.ML110 とは
 intel 3000 + ICH7R を採用していた ML110 G4 の後継である ML110 G5 (Generation 5) は、G4 をベースに intel 3200 + ICH9R へとリファインしたモデルで、それに伴いパラレルATA、FDDコネクタ、パラレルポートなどが省かれており、いわゆるレガシーフリー設計となっている。拡張スロットも PCI-Express がこれまでの2本から3本に増え、同時に PCI スロットが2本から1本へと減らされている。世代交代の波は様々な箇所で確実に進んでいるのである。


ML110 G5 フロントとリア。


HP ProLiant ML110 G5 内部。


HP ProLiant ML110 G5 マザーボード。


Windows XP 導入時のデバイスマネージャ。


同、システム情報。


CPU-Z の結果はこちら
(別ウィンドウで開きます)
 

3.プロセッサ
 ML110 G5 は BTO / CTO 対応モデルとなっており、プロセッサは下記の4種類から選択することになる。

Celeron 420 (1.60GHz、FSB800MHz、512KB L2)
Pentium Dual-Core E2160 (1.80GHz×2、FSB800MHz、1MB L2)
Dual-Core Xeon 3065 (2.33GHz×2、FSB1333MHz、4MB L2)
Quad-Core Xeon 3210 (2.13GHz×4、FSB1066MHz、8MB L2)

 本機は FSB 800/1066/1333MHz をサポートしており、プロセッサの BF[0:2] ピンを操作することにより任意の FSB にて動作させることが可能である。手持ちのプロセッサではアルミホイルを用いた方法で Celeron 420 と Pentium Dual-Core E2140 は FSB1066MHz、QuadCoreXeon x3210 は FSB1333MHz での動作を確認した。
Core2 Quad Q9000番台などの 45nmプロセスで製造されたプロセッサは動作未確認である。


Celeron 420 2.13GHz 駆動時のシステムのプロパティ。



4.メモリ
 本機は PC2-6400 (DDR2-800) ECC 付アンバッファメモリがサポートされているが、Non-ECC タイプのメモリも使用可能である。ただし ECC 付メモリとの混在はできない。Transcend 製 PC2-5300 Non-ECC メモリでの動作も確認した。



5.補助記憶装置




6.グラフィック
 本機のグラフィック機能は ServerEngines チップ (SE-SM4210) に統合されており、MATROX MGA-200e のコアが内包されている。ML115 までの従来機 (SE-SM4110) では内蔵 VRAM が 2MB 弱しかなく、高解像度・多色表示を要求するような GUI ベースの OS ではローカルでの作業に難があったためか、8MB (1600×1200ドット、16bit カラー) へと増強されている。
ちなみに VRAM は ServerEngines 内蔵ではなくなり、外部メモリを近隣に配することで対応している。チップの型番は変更されたが内蔵 RAMDAC は 175MHz のままである。



グラフィックカード搭載試験  従来機 ML110 G4 は x8 スロットに実装したビデオカードが x1 でしか動作しないという問題があったのだが、それは G5 になっても変わらなかった。NEC の Express5800/110Gd が x4 ながらも健闘したことを考えるとこれは残念でならない。


スロットを削った後のコネクタ。真ん中のスロットの延長線上にある圧電ブザーは撤去した。


7.ネットワーク


 

8.拡張カード


拡張スロット周辺。最上段のスロットが x8 動作。

 本機は3本の PCIe (PCI-Express) と1本の 32bit PCI スロットを有しており、intel 3200 配下に PCIe x8スロットが、ICH9R 配下 に PCIe x1スロットが2本、それに 32bit PCI スロットが配置されている。
PCIe スロットはいずれも物理的に x8 のものを使用している。 また、32bit PCI スロットは 3.3V 専用なのでくれぐれも注意されたい。特にサウンドカードはブラケット側の切り欠きが無いものが殆どなので、本機にサウンド機能を付加する際は USB オーディオデバイスをお勧めする。
 

9.おわりに
 FSB1333MHz 世代の先陣を切って発売された ML110 G5 は、構造や挙動は ML110 G4 からの正常進化形だが、後継商品としての訴求力にいまいち欠ける感が否めない。気になる動作音については静音型 CPU クーラーのにより ML115 はもちろんのこと、110Gd よりも静かで、PowerEdgeSC440 や IBM x3105 程度までの静粛性を実現している(電源投入時・再起動時はフルスピードで回転)。
特価サーバと言うからには価格が気になるところだが、筆者が入手した時点では最廉価+DVD-RWの構成で \54,000 程度したものの、2008年1月からは恒例の [ホップ・ステップ・ジャンプ キャンペーン] 第3弾と銘打って \25,200〜 の価格帯に下りてきているので、お買い得といえよう。
 


参考文献

日本HP - HP ProLiant ML110 G5 - Showcase
http://h50146.www5.hp.com/products/servers/proliant/ml110g5/index.html

intel 3200 チップセット
http://www.intel.co.jp/jp/products/chipsets/3200_3210/index.htm

Pentium Dual-Core E2140 の FSB1066MHz化
http://www.98server.org/hyper98/FSB1066/index.html



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